リノベる、紹介から施工まで ツクルバ、サイトで売買仲介
ベンチャー企業の住宅リノベーション(大規模改修)関連サービスを利用する消費者が増えてきた。IT(情報技術)の浸透でベンチャーでも全国で事業展開しやすくなり、個性的な提案で単身や少人数世帯の「こだわり」を取り込んでいる。新築マンション離れが進むなか、中古の取引は活況で売り出し戸数は過去最高の水準だ。欧米に比べ遅れていた中古住宅流通の普及を新興企業が後押ししていきそうだ。
「間取りに生活を合わせるのは、嫌。生活に間取りを合わせたかった。」
会社員の木暮祐介さん(32)は都内で築40年の中古マンションを改装。2LDKを1LDKに変えて対面式キッチンのリビングを大きくとった。夫婦で人を招くのが好きな木暮さんが利用したのは物件の紹介から施工まで一貫して手がけるリノベる(東京・渋谷、山下智弘社長)のサービスだ。
専属の担当者がデザイナー選びやローンの手配に協力する。平均的な工事費用は約70平方メートルで約886万円。2015年度の受注件数は2年前の3倍にあたる330件を超える見通しだ。
15年度はショールームを地方にも広げ、長崎市など新たに6カ所開設。全国19カ所でリノベーションの実例を紹介する。若い世代の利用が増えており、3月中旬には商業ビルの渋谷ロフト(東京・渋谷)に専用の相談カウンターも開く。
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中古住宅の人気は高まっている。不動産経済研究所によると、15年の首都圏新築マンションの発売戸数は約4万戸。約9万戸だった00年と比べると半分以下に減った。その一方で16年1月に新たに売り出された中古マンションは首都圏で約1万7000戸(東日本不動産流通機構調べ)と過去最高の水準だ。戸建ての改装も増えており、消費者の住宅選びや暮らし方は変わりつつある。
中古住宅の取引が活発になる中、転売を仲介するサービスも登場している。
ツクルバ(東京・渋谷、村上浩輝最高経営責任者)は15年6月、リノベーション住宅に特化した売買サイトを開いた。一般的な不動産サイトは築年数で評価することが多く、リノベーション物件の情報は埋もれてしまうからだ。毎月、掲載する物件の7~15%が成約につながるという。
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(日本経済新聞 平成28年3月7日掲載文より)