トランプ大統領の関税発表で、世界中の金融マーケットに激震が走っています!
アメリカが関税政策を打ち出したことで、世界経済が突如として地域ブロック化の様相を呈し出しました。
アメリカが世界中に関税を課すことに端を発した世界同時株安は、わずか1日でNYダウが2231ドル(5.5%)安という史上3番目の下げ幅を記録。
ナスダック総合指数も6%安となり、「弱気相場」入りしました。
さらに「西側」の分裂も鮮明になり、マクロン仏大統領が「欧州の未来をワシントンやモスクワに決めさせてはならない」と宣言するなど、冷戦終結後築かれてきたグローバル秩序が大きく揺らいでいます。
→「西側」の分裂、崩壊した戦後秩序 日本は大丈夫か(日本経済新聞)
この世界的激変は宇都宮市の不動産マーケットにも確実に影響をもたらします。
結論から言えば、世界のブロック経済化で、すでに進行していた「二極化」が更に加速し、LRT沿線など一部優良エリアは比較的堅調を維持する一方、郊外部や製造業依存度の高いエリアでは不動産価格の下落リスクが高まっています。
特にホンダ、日産、キャノンなど輸出依存度の高い製造業が集積する宇都宮市と周辺区域は、関税問題による地域経済への打撃が不動産市場の冷え込みに直結する恐れがあります。
今後は「どこでも良い」時代が完全に終わり、エリアによる選別がさらに厳しくなるでしょう。
空き家や未使用実家の「持ち続けるリスク」も急増しており、特に郊外の築古物件は早期売却を検討すべき時期に来ています。
今回は、インフレで弱っている世界経済に、関税措置がさらなる追い打ちをかけ、大きな景気後退を迎えた場合を想定し、宇都宮市の不動産マーケットを考察してみます。
金融市場の変動と不動産への影響
世界的な株安と経済不安が広がる一方で、物価高騰も続く「スタグフレーション」的な状況では、政策当局は難しい判断を迫られています。
市場では「FRBは年内に利下げを実施するだろう」との見方が広がっていますが、これは物価安定よりも深刻な景気後退を避けるための「最後の手段」となる可能性が高いです。
住宅ローン金利と購買意欲への影響
現在の物価高騰が続く状況では、本来なら中央銀行は利下げに慎重になるはずです。
しかし、マーケットはすでに景気悪化を視野に入れ、長期金利が急低下しています!
→長期金利が急低下 一時1.16%、世界的に国債へ需要(日本経済新聞)
もし利下げが起きるとすれば、それは国内景気が相当悪化することが前提となるシナリオです。
このような状況下では、住宅ローン金利は低下するかもしれませんが、失業率が上昇し、雇用不安や所得減少により、住宅購入意欲そのものが減退する可能性が高いでしょう。
宇都宮市周辺は製造業が集積しており、特にホンダや日産、キャノンなど輸出依存度の高い大手メーカーの生産拠点が多くあります。
これらの企業が米中の関税応酬の影響を受ければ、地域経済と雇用に直接的な打撃となり、不動産需要の大幅な冷え込みにつながる恐れがあります。
投資マネーの動向と資産選択の変化
世界的な経済不安と物価高騰が続く中、投資家は「安全資産」としてゴールドなどの貴金属に資金を振り向ける傾向が強まっています。
実際、地政学リスクの高まりと米国の景気後退懸念から、金価格は過去最高値を更新し続けており、パフォーマンス面でも現金や国債を大きく上回っています。
一方で、こうした現物資産への注目の高まりは、不動産マーケットにとってもプラスに作用する可能性があります。
インフレヘッジとしての実物資産という観点では、ゴールドと不動産は同じカテゴリーに属するため、ゴールド価格の上昇は不動産への関心も高める効果があるからです。
特に立地の良い不動産は、金と同様に「価値の保存手段」として見直される傾向にあります。
ただし、これはあくまでも選別的な動きであり、宇都宮市内においても一部の優良立地の物件に限られます。
建築資材価格の上昇と新築市場への影響
米中間の関税の掛け合いは、サプライチェーンの混乱を招き、ただでさえ円安、インフレ傾向がつづくなか、建築に使う木材や金属、設備機器などの輸入価格をさらに押し上げる要因となります。
すでに深刻な建設現場の人手不足や燃料費の高騰も加わり、新しい家を建てるコストが更に上昇することが予想されます。
宇都宮市内では、建築コストの上昇で、住宅メーカーやデベロッパーが新しい物件の建設に慎重になり、新築物件の供給が減少する傾向にあります。
通常なら物件の供給数が減れば希少性が高まり、価格は維持されるはずです。
しかし今回は事情が異なります。
というのも、インフレに手取り収入が追いつかず、人々の住宅購入意欲も冷え込んでいるからです。
さらなる関税ショックで、景気の先行き不安から「今は家を買うべきではない」と考える人が増えれば、需要と供給の両方が減少する状況になります。
このような状態では、たとえ新築物件の数が減っても、価格の下落を防ぐことは難しくなります。
特に懸念されるのは、「コストは上がるのに売れない」という悪循環です。
建築費用の上昇で新築物件の価格は上げざるを得ませんが、景気後退で購入できる人が減れば、結局は値引きをせざるを得なくなります。
そうなると体力のない地場の小さな工務店の経営は成り立たなくなります。
建築会社の収益が圧迫されると、さらに新規建設が減り、関連産業にも影響が広がり、地域の雇用にも影響が出ます。
この悪循環は新築だけでなく中古市場にも波及し、不動産市場全体が縮小してしまう恐れがあるので注視しています。
製造業集積地としての宇都宮と関税問題の影響
宇都宮市および栃木県は、日本有数の製造業集積地です。
県内にはホンダの四輪車工場や関連部品メーカー、日産自動車のエンジン工場、キャノンの光学機器工場など、グローバルに展開する大手製造業の拠点が多数存在します。
特に自動車産業は米国市場への依存度が高く、米国による自動車関税引き上げで、製造業の業績が急速に悪化すると、地域経済に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
この影響は住宅市場にも直結します。
大手製造業の従業員が多く居住するエリアでは、関税問題による生産縮小や雇用調整が行われた場合、短期間で住宅需要が減少し、価格下落に見舞われる可能性があります。
また、自動車産業は電気自動車への移行という大きな転換点にあり、従来のエンジン関連部品の生産拠点である宇都宮周辺地域は、その影響を強く受けそうです。
こうした産業構造の変化とコストプッシュインフレ、関税問題が重なることで、地域経済の先行きには前例のない不透明感が広がり始めています。
LRT開業と市内の二極化加速
宇都宮市の駅東エリアでは、2023年にLRT(ライトレール)が開業し、市内の交通インフラが改善されました。
このインフラ整備は、すでに進行していた市内の地価の二極化をさらに加速させています。
LRT沿線では、新たな開発計画が目白押しで、不動産価値に下支え効果がありますが、再開発に取り残された郊外部では空き家の増加や価格下落が止まらない状況です。
世界経済の不確実性が高まる中、この格差はさらに拡大し、・・・・・・